標 記(その1)


ここでは[(1)ステンシル文字・重ね塗り][(2)ステンシル文字・重ね塗り(その2)]
[(3) ━(ハイフン)][(4)検査関係標記][(5)検査関係標記(コキ107)]
[(6)JRFサービスマーク][(7)突放禁止][(8)その他の標記]を見てみます。


【ステンシル文字】



無くてはならない形式と車番。言わば名札のようなものです。
正式には「車両番号・換算両数標記」といい、まとめて「運転関係標記」といわれます。
しかしこの番号、反応せざるを得ないですね。世代的に。



標記類は白色のフィルムシールの転写、あるいはシルクスクリーンでの印刷なので
風雪雨等にさらされて色が落ちていきます。このままでは支障が出てしまうので
標記を復活させる事が必要ですが、これにはいくつかの手法があります。

その一つとして「ステンシル文字」が挙げられます。




初めて発見したステンシル文字車です。
これを見つけた時は「こんなのがあるんだ」と心ときめきました。
ステンシル文字とは型紙を作り吹きつけるもので、継ぎ目があるのが特徴です。

※なおこの先からステンシル文字は「ス文字」と略させていただきます。




個人的に「フル」と呼んでいるパターンです。
「コキ」、「形式」、「番号」、「積・空」がまとめてス文字です。
しかしこの他に「自重・荷重」や「検査」にもス文字があるので
その組み合わせを考えると厳密には「フル」とは言えません。

なお形式と車番の間にある「-」は元のを使う、なぞり(手書き)、省略と様々です。

このほかにもいくつかの組み合わせが存在します。




これは「形式」のみス文字です。



それに対し「車号」と「積/空」がス文字です。



これは「積・空」のみス文字です。



反対に「積・空」のみ標準です。



「コキ」のみ標準です。このパターンは割と多い気がします。
よく見ると「-」が角ばっていて太いですね。




これは「コキ」と「形式」がス文字です。



これは非常に変則的で、車番の一部だけス文字です。



こちらも車番一文字がス文字です。



他がカスレなのにス文字が目立ちます。
偶然なんでしょうが、なぜか「6」ばかりです。
「6」のステンシルは単独使用という謎ルールでもあるのでしょうか…?



こちらも変則的で、逆に末尾「00」だけがそのまま残されています。
こう見るとス文字は少し大きい感じです。



ス文字は元番号がほぼ消えかけた上から吹かれている場合と、このように元番号が
見えにくくなった為に上から重ねて吹かれている場合があります。
重ねて吹かれている場合は遠目からではス文字と判別できないこともあります。



これもパッと見、分かりにくいですね。
画像は「フル」のパターンですが「積・空」しか目立ちません。
特に通過列車の観察には気をつけなくてはなりません。




これはステンシルで吹いた後、継ぎ目をきれいに塗り潰していました。
遠目では絶対に分かりません。ある意味、罠です。




罠といえばこちらも。
見た感じ、普通にス文字で補修されています。
なぜ「2」だけ仲間外れなのかは謎ですが。



しかし反対側をみると、なんと下二桁が後述する重ね塗りになっていました。

これで分かるのがス文字は単なる簡易補修ではなく
ベタ塗りの下書きのような用途にも使われているということです。
重ね塗り補修の下にはス文字が隠れている可能性がありますね。確認不能ですが。



ス文字に関してはコキ104が最も多いですが、他形式にも及んでいます。
こちらはようやく撮影できたコキ106です。



この車両はかなりダイナミックに補修されたらしく、枠の跡がはっきり分かります。



これは変則的で、重ね塗りとス文字の組み合わせです。
これもス文字を吹いた後に上から重ね塗りをしたと予想されます。



とうとうコキ107にもス文字が現れました。
初めて撮影した時は「もう107にもか」といった感じで驚きました。



ちょっと珍しいパターンで、特定の数字のみス文字です。



これもス文字での修復ですが、何となく違和感を覚えます。



アップにしてみるとス文字の上から数字のシールを貼っているのが分かりました。
これもス文字を基準(下書き)として使っているパターンですね。



さて、これもス文字で補修されたコキ107ですが…



反対側はなぜか補修はされず薄いままでした。
こんな事もあるんですね。

前述の[コキ104-2567]のように、@-B位側とA-C位側で補修方法が違っている車両がいます。
「片側を見たから反対側も同じだ」と思うのは早合点なのかも知れません。

全体から見るとス文字車番のコキ車は圧倒的に少ないです。
なのでス文字を見つけると嬉しくなっちゃいます。
通過列車を観察する時は、車番見てコンテナ見てと結構忙しいです。


【重ね塗り】



ス文字以外の補修方法としてはこのような「上から重ね塗り(なぞり書き)」があります。
タキ車でもよく見ますが、コキ車も何となく増えてきた印象です。

上の画像はコキから形式番号、積空まで全てなぞっています。素晴らしいです。



重ね塗りはコキ106や



コキ107にも及んでいます。

コキ車観察を始めた頃、まだコキ107は増備の続くパリパリの最新形式で
大切にされている感がありましたが、上のス文字も含めて
もう「単なるコキ車のひとつ」になってしまったんだなと感じてしまいます。



さて補修方を見ると形式 - 番号全てではなく、番号だけの補修をよく見ます。
積載や検査期日で重要なのは車番で、形式は見れば分かるから省略していると思われます。



先にも説明しましたがス文字で補修した上で、車番のみ重ね塗りしています。
ス文字とベタ塗りでの数字の認識の差が分かります。



塗料の含みが多かったのか、流れてしまいホラーっぽくなってしまっています。



重ね塗りではなく、ちゃんと転写または印刷されている場合もあります。



一見すると「9」だけ重ね塗りのようですが



「1」と「7」をアップで見ると角丸部分が車体色の塗り潰しで再現されている事や
「7」の下辺に角丸が無い事などをみると、この2ケタは印刷ではなく
直線なのでマスキングをして重ね塗りをした可能性が大きいです。



ちなみにこれが標準の「17」です。
比べていただければ、その違いがお分かり頂けると思います。



こちらの「333」は印刷のようですが全て重ね塗りです。



そして約3ヶ月半後に見るとコキと形式、積空もなぞられていました。
こんな変化を見つけるのも楽しいです。新たに塗られた分は白さが目立ちますね。



こちらは車番の他、形式の下一けただけ重ね塗りです。



「コキ」と形式のうち、百の位と十の位だけ重ね塗りです。



こちらは「3」のみ重ね塗りです。



こちらも「3」だけですが、太めになぞられています。



こちらは「8」のみ太いです。
塗料が濃くて上手く塗れなかったのでしょうか?



ス文字で例にあげました[104-666]ですが
反対サイドも一文字だけ補修されていました。



これは究極の「手書き」です。
検査票の手書きはよく見ますが、一部とはいえ車番の手書きは稀です。

ちなみに反対側は上のス文字で紹介したように「3」が重ね塗り「6」はス文字でした。
なぜ手書きなんでしょう?時間がなかったのでしょうか?



この他、カスれている部分だけ補修する場合もあります。



部分補修の車両番号全体がカスれてしまうと面白い状態になるようです。



こちらは部分補修というより、どことなくやりかけ感が漂います。



時間が無かったのか、応急処置的な重ね塗りです。



とりあえず塗るのに簡単な数字から…、だったのでしょうか?



しかし、車両番号の一部だけがカスれるのは何故なんでしょう?
普通全体的にカスれていくと思うのですが。よく分かりません。



さて検査が終わり標記を入れる時、そのまま元の場所へ入れる気がしますが
よく見ると案外そうでもなかったりします。

上の画像の場合「-」がちょうどセンターにくるようにやり直したんでしょう。
標記類は人の手で入れているようなので、担当者の方のセンスが発揮されるところです。



これは補修はしたものの、補修前の番号が残ってしまっています。



修正前の番号が残っていても、カスレたら上から重ね塗りです。



それではみっともない、と見えている部分を塗り潰している事もあります。




これは補修ではないのですが、コキ107は標記が別種のシールなのか
車両番号に限らず黒フチ付きに見える車両があります。
どうやらコキ107の新製時はこの仕様のようです。



しかし標準的なベタ塗りの車両もいます。
これは全検を実施した後が元の仕様だったり、ベタ塗り(印刷)だったりの差です。
同じ検査場で出場してもまちまちで、何が基準かは不明です。




特に意味はありませんが、文字が斜めってる車両もいます。
模型のインレタ貼りを失敗しても言い訳ができそうです。


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