標 記(その5)


【検査関係標記(コキ107)

(その4)で検査関係標記が劇的に変化したと書きましたが
一番変化したのがコキ107とコキ200でしょう。

JR貨物では業務の適正化を図るため検査周期の延伸を計画しました。
技術の進化により摩耗部品の削減や構造の簡素化が進み、とりわけユニットブレーキが採用されている
「FT3形式台車」を使用しているコキ107とコキ200は他形式と比べて優位に立っていたので
2017(平成29)年から試験車両200両を選出し、2019(平成31)年まで実証試験を行いました。
なお実証試験は(社)日本鉄道車両機械技術協会をはじめとする第三者機関や有識者によって行われました。

結果、コキ107とコキ200については検査周期の延伸が可能と判断され、それにより両形式は
2020(平成2)年2月以降、交検(指定取替)は30ヶ月を超えない期間から「42カ月を超えない期間」へ
また全検は60ヶ月を超えない期間から「72ヶ月を超えない期間」へ、それぞれ1年延伸されました。

ここでは僅かですが、コキ107の検査標記の変遷(?)を見ていきたいと思います。



これが今までの検査票の表示です。
川重では次回検査に比べ、今回検査(=製造年月日)が小さく書かれています。
しかし全てに当てはまるわけではないようです。



対して日車は標準的な表示です。
検査周期はまだ交検(指定取替)は30ヶ月、全検は60ヶ月です。



試験車両だったのしょうか、次回検査がなんと9年後になっていました。
検査期間延伸(試験)にともない、検査周期を示す「
A1」が消されています。
太線一本消しはよく見るパターンでした。



こちらも検査周期が9年に書き換えられています。
検査周期は細線一本で消されています。



検査周期延伸が決まったからか、「A
1」標記が完全に消されました。
また、まだ和暦表記ながら次回検査も消されてしまいました。
この頃から準備が始まっていたんですね。
これはきちんとマスキングをして消しています。



こちらはマスキングを使わずに消しています。



今回検査と次回検査を分ける白線も消しています。



漢っぽく、力強く消している場合もあります。



こちらもマスキングを使っているようです。
検査周期標記は広い範囲で消されています。



「A」の山形がはっきりと分かります。



こちらはかなりの広範囲を消しています。



こちらはほぼ全体を塗り潰し、新たに書き直しています。
逆転の発想です。



(その1)でも紹介したように、コキ107でも交検(指定取替)が西暦、全検が和暦の組み合わせが誕生しています。
このコキ車は日車で新製されていますが、製造年月日のフォントが違いますね。



そして交検(指定取替)、全検ともに西暦表示も誕生しています。

西暦表示は2019(令和元)年からですが、検査周期延伸は2020(令和2)年からなので
西暦表示ながら検査周期標記「A
11」が表示されています。
その後、検査周期は消されていったので過渡期に見られたレアパターンです。

画像の車両は[コキ107-690]で、これを撮影したのは2021年12月です。
なんと検査周期延伸後2年近くも経っているのにまだ「A
11」が残っていたとは驚きです。
違った意味でもレア車両ですね。比較用の試験車に指定でもされているのでしょうか?



こちらは出場日の関係か、既に検査周期が印刷してあったのでしょう。
その後の検査周期の延伸を受けて消したといったところでしょうか?



2020(令和2)年以降に全検を出た車両には、初めから検査周期標記はありません。
ちょっと寂しいですね…。



よく見ると全検標記の月日のところに、サイズ目安の鉛筆の枠書きが見えます。



そして、ついに新標記が爆誕しました。いや騒いでいるのは私だけですが。
詳しい事は分かりませんが、コキ107への表示なので
全検周期「72ヶ月を超えない期間」を示すものと推測されます。

…が、

他の画像でもお分かりのように、2021(令和3)年以降に全検出場した車両には「S1」標記はありません。
また「
A1」に代わる標記であれば消されていた車両に順次、再表示していくはずですが、その気配もありません。
もしかするとこの「S1」標記は別な意味を持つ新標記なのかも知れません。
なお画像の車両は[コキ107-1095]です。



こちらはコキ107と共に検査周期が延伸されてるコキ200の各標記です。
コキ107と同様に「A
11」が消されていますが、1級の標記は元の位置ではなく
隣の小さい「
」の位置に表示しています。なるほど見た目のバランスが良くなります。
ナイスこだわりですね。



こちらは一般的な標記類の消し方ですが、検査周期標記部分の左下にシワのようなものが見られます。
もしかしたら塗料ではなくシール的な物で消した可能性があります。


【検査関係標記の省略】

コキ車で変化を続けているのが「検査関係標記」でしょう。
西暦標記に変わり劇的な変化と言っていましたが、更なる劇的変化を成し遂げます。
それは…



まさかの「交番検査票(指定取換)」と「全般検査票」の両標記の記入省略です。
すでに複数の方のブログ等で目撃が発信されていて、そちらによると
2023年7月下旬に全検を終えた車両から記入省略が実施されているとの事で
自分は9月になってやっとキャッチする事が出来ました。



なかには全検を受けていないのに消されている車両もいました。
これを見るに「検査票の記入省略」の通達が発せられたと想像できます。
その通達に沿って交検に入った時に順次塗り潰されていくと思われます。

全検時も特定の検査場だけではなく、どこから出場しても記入は無いでしょう。



その通達は100系コキ車全てが対象らしく
コキ200でも塗り潰しが確認できました。



コキ107やコキ200は検査周期も省略されているので
どことなく間の抜けた感じです。

検査標記の省略は見方を変えると「実車が模型に近づいた」ということでしょうか?



7月上旬の出場車は標記ありですね。
記入省略が完了するとこの西暦標記は数年しか存在しなかった
レア標記になりますね。


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