台 車(その1)


100系コキ車は大きく分けて3種類の台車を使用しています。ここでは
[(1)FT1形式台車][(2)コロ軸受][(3)前ぶた(その1)][(4)前ぶた(その2)][(5)前ぶた(その3)]
[(6)FT1形式台車・銘板(その1)][(7)FT1形式台車・銘板(その2)]
[(8)FT1形式台車・銘板(その3)][(9)FT1形式台車・銘板(その4)]
[(10)FT2形式台車/FT3形式台車]を見ていきます。


【FT1形式台車】

100系コキ車の台車ですぐに思いつくのがこの「FT1形式台車」でしょう。
どれも同じに見えますが、つぶさに観察すると意外と相違点が見えてきます。
さて、どこが違うのかじっくり見ていきましょう。


[台車側枠の違い]




上の二枚の画像はどちらも同じに見えますが、どこかが違います。
さて、どこが違うのでしょうか?

答えは台車側枠上端の形状です。



上の画像の台車側枠は右上端が肩の張ったような感じで、続く傾斜具合は急な形状です。



分かりにくいですが、下の画像の台車側枠は右上端が撫で肩になり、また傾斜具合は少し緩くなっています。

どうやら川重・日車とも1992(平成4)年度以降に製造された台車枠から変更になっているようです。
肩張りなのが「前期型台車側枠」、撫で肩なのが「後期型台車側枠」と言えます。



並べてみます。左が前期型、右が後期型です。
この微妙な差。お分かりいただけるでしょうか?

ちなみに比較した画像の銘板は前期型に「FT1」、後期型には「FT1B」が付いています。
他の項とだだ被りになりますが「FT1B形式台車」は1993(平成5)年に前ぶたが「JT11B形」に変更になった際に誕生しました。
しかしすぐに全てが「FT1B形式台車」に切り替わったわけではなく
並行してまだ基本の「FT1形式台車」(またはB形相等に改修された「改1形」)も製造されており
必ずしも「FT1形式=前期型台車枠」「FT1B形式以降=後期型台車枠」という図式は当てはまりません。
(そもそも「FT1B形式」誕生以前から変わっていますからね)



ご覧のように後期型台車側枠の「FT1形式台車」がしっかり存在します。


[台車の向き]



間延びした画像ですいません。
真横からコキ車を見た時、向かって左の台車には必ず「左右動ダンパ」が付いています。
そして反対側の右側には付いていません。

上の画像は@-B側ですが、A-C側から見ても同じです。



向かって左の台車を見てみます。
台車枠から垂直に伸びた支持に付いているのが「左右動ダンパ」です。
車体の影に入って分かりにくいですが、左右動の名のように枕木方向に取り付けられています。



続いて反対の右側の台車です。
「左右動ダンパ」は1台車に片側1つの取り付けなので、こちら側にはありません。
コキ車の左右動ダンパの位置関係は点対称です。


[左右動ダンパ]



ではその「左右動ダンパ」を見てみます。
上の説明で触れた通り、枕木方向に取り付けられた丸い筒が「左右動ダンパ」です。
台車枠と「まくらばり」を結んでいます。付いているカバーは黒色です。

Nゲージでは単なる垂直の板で表現されているのが悲しいです。



アップで見てみます。
ダンパ自体にリングが付いていて、釘状のピンと割りピンで取り付けられています。
本体リングにピンが入っているだけなので、固定はされておらず
台車自体の動きに追随する自由が保たれています。



角度を変えると良く分かるかと思います。
「左右動ダンパ」は独立した部品なので状態によっては交換されます。
画像は交換されたもので色がまだ綺麗です。



たしかに正面から見ると板状の表現でも仕方ないかな?って思えますね…。


[まくらばねダンパ]



さて、コキ車にはもう一つダンパが付いています。それが「まくらばねダンパ」です。
台車の中央にある「まくらばね」の手前(画像左側)にある垂直の丸い筒がそれです。
左右動に対して上下動に対応しています。



カバーは全車と言っていいほど緑系の色をしています。
模型に塗るとちょっとしたアクセントになりますね。
ただし、ストレートなド緑ではないので注意が必要です。

色のイメージは身近な例ですと、市中を走る
軽トラの荷台に掛けるカバーやホロの色が参考になります。



緑系と言いつつも、やはり経年で汚れて黒ずんでしまいます。
しかし黒色に塗るよりもオリーブドラブや濃灰色あたりの方が雰囲気が出ると思います。

汚れた色も軽トラのカバーやホロを参考にするといいでしょう。



ダンパ保護のカバーは縫い目が見えるので布製というのが分かります。
それをステンレス製のバンドで固定しています。



しかし何らかの理由で破れたり裂けたりしてしまう事があります。



本来なら工場等で交換しますが応急処置としてテープを貼る事があります。
画像は布テープでしょうか?
カバーの色に合わせて緑色を使っているところが気が利いてます。



これはビニールテープと思われます。



ズバリ、ガムテープです。
模型でも塗り分けで再現してみてはいかがでしょうか?



やや不鮮明な画像ですいません。
これは台車と一緒に灰色に塗られているように見えます。



模型の台車の「まくらばり」の上面はフラットですが、実車はそこそこのディティールがあります。
ただ模型のコキ車はそんなに腰高ではないので、ここまで拘らなくてもいいと思います。


[台車の塗色]



FT1形式台車の色といえば明るい灰色ですが…



一部の車両ではこのように濃い灰色で塗装されています。
今後増加していくのか注目です。



車輪、前ぶたを交換した時の塗装も明るい灰色の場合と



濃灰色の場合の2パターンが存在します。


[台車について]

台車も車体メーカーで製造されています。
といっても製造しているのは台車側枠が主で、コロ軸受や車輪等は
専業メーカーから納品され工場で組み立てられます。



上記のような理由でコキ車は原則、車体と同一のメーカーの台車を履いています。
しかし中には台車の交換、あるいは使いまわしが行われている場合もあります。

上の画像は川重車体に日車台車の組み合わせの例です。もちろんその逆もあります。



平成元年製の[コキ104-33]が履いていた台車の銘板です。同車製造以前の台車が使われていました。
年代からしてコキ101とか、その頃に製造された台車ですね。

このように台車の交換や使い回しが発生しているので
新製時のオリジナルの姿をたどるのは難しいかも知れません。


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